eコミュニティ2.0とは
マップ作成・共有ツール
概要
独立行政法人防災科学技術研究所(理事長:岡田義光)は、国際標準に準拠した地理空間情報の分散相互運用環境を実現するデータ配信サーバーシステムと利活用のためのWebマッピングシステム(略称eコミマップ)を開発しました。
これらのシステムは、従来の一方向的な地理空間情報の配信および利活用の方式を見直し、分散して存在する複数の情報を動的かつ統合的に利活用できるようにするために、配信側のサーバーと利活用側のアプリケーションを提供するものです。なお、後者は、同じく当研究所が開発した、地域社会の新たな公共と地域経営を支える統合的な情報基盤「eコミュニティ・プラットフォーム 2.0(略称eコミ2.0)注1」を構成する主要要素でもあります。
当研究所では、「eコミ2.0」を自治体総合フェア2009で公開し、国、自治体、地域コミュニティ、教育機関、NPO、事業者等に無償提供するとともに、8月上旬から自治体等を対象として、本システムを用いた実証実験の協力団体を公募する予定です。
国際標準に基づくインターネット上での地図の相互運用性の実現
参加型コミュニティWebシステムにとって不可欠となる地図作成機能や位置情報に基づく情報サービスは、これまで相互運用性が考慮されていませんでした。そのため、利用者は、国や自治体、研究機関等のさまざまな機関から提供されている各種地図やハザードマップを、インターネットを介して動的・即時的に入手して組み合わせたり、そこに個人や地域固有の情報を加えて新たなマップを作成することができませんでした。そこで、防災科研では、地理空間情報の相互運用のための各種国際標準(WMSやWFS等)に準拠することで、これらを利用者側が容易に実現できるシステムを開発いたしました。また、この国際標準に準拠した地理空間情報の配信を可能とするサーバーシステムについても同時に開発し、それらを無償で公開することとしました。
利活用Webマッピングシステム(eコミマップ) システム構成図

本システムの特徴(これまでのシステムとの違い)
(1)国際標準に基づくインターネット上での地図の相互運用性の実現
地域社会を支える情報基盤にとって不可欠である地図関連機能や位置情報供サービスは従来、相互運用性が考慮されていませんでした。そのため、利用者は、国や自治体、研究機関等のさまざまな機関から提供されている各種地図やハザードマップを、インターネットを介して動的・即時的に入手して組み合わせたり、そこに個人や地域固有の情報を加えて新たなマップを作成することができませんでした。そこで、防災科研では、地理空間情報の相互運用のための各種国際標準(WMSやWFS等)に準拠することで、これらを利用者側が容易に実現できるシステムを開発しました。また、この国際標準に準拠した地理空間情報の配信を可能とするサーバーシステムについても同時に開発し、それらを無償で公開することとしました。
(2)誰もが簡単に地図を操作・管理できるユーザーインターフェイスの提供
本システムでは、Ajax(デスクトップソフトウェアと比べて遜色の無いレベルの、画面遷移を伴わない豊かな動的表現をウェブブラウザ内で実現にする複数ウェブ関連技術の総称)等の最新Web技術の成果を取り込むことにより、画面デザインや操作が直感的で平易になっており、従来に比べて大幅に簡便な手順でオリジナル地図を作成することが可能になっています。表計算ソフト等で作成したリスト形式のデータを一括で読み込み、その中にある住所情報からそれぞれのデータを自動的に地図上にマッピングしたり、反対に地図上にある登録データとその属性情報をリスト形式のデータに書き出す機能が装備されており、既存業務との間でのデータの移行や同期、更新やフィードバックが格段に容易行なえるようになっています。情報内容や利用者権限に応じて必要なセキュリティを確保しながら、複数の人々が協働して地図を作成・編集・引用・共有・公開できる仕組みを用意しており、地図を利用した高度なコミュニケーションを柔軟に行なうことが可能です。
(3)GPS機能付き携帯電話によるアクセス利用への対応
市販のGPS機能付き携帯電話から本システムにアクセスして地図の参照や検索を行なったり、情報の登録・編集・削除が容易にできるモバイル環境を実現しており、誰もがいつでもどこでも情報の受発信ができる環境の構築に威力を発揮します。例えば、携帯電話のGPS機能を利用して、自分が現在いる場所の地図や情報を確認したり、現在地の情報を地図上に登録したりといった操作を素早く簡単に行なうことができます。また、写真撮影が可能な携帯電話であれば、撮影した写真を一緒に情報登録することも可能です。
(4)汎用Webブラウザーのみによる利用環境の実現とそれによる低運用コストの実現
上記(1)~(3)をはじめとする本システムのすべての機能やサービスは、特別な専用ソフトをPCや携帯電話上にインストールすること無く、汎用Webブラウザーのみで利用することができます。
また、本システムの利用は、商用/非商用を問わず原則無料となっており、ソースコードについても無償で公開されているため、システムの導入・運用・改良が従来に比べて飛躍的に安価に行えるようになっており、これまで導入の際の支障となっていたコスト面の問題も大幅に改善されます。(自前のサーバー設置を希望される場合の設置費用や運用管理費、インターネットや携帯電話の通信料等の費用は除きます。)
(5)日本全国を網羅した強力な地図印刷機能
本システムでは、実証実験期間中、日本全国を網羅したデジタル地図・航空写真が無償で利用可能となっており、それらを背景にして作成したオリジナル地図を任意のサイズで印刷することが可能となっています。例えば、自宅を中心にして作成した「我が家の避難ルートマップ」を1枚のポスターのようにA0サイズで大きく印刷したり、同じA0サイズの地図を通常の家庭用プリンタで対応可能なA4サイズに分割して印刷したりすることができます。
本システムの利用者及び運用について
本システムの設計・開発においては、以下の利用者及び運用を想定して行っております。
- (1)市町村等自治体:統合型GISとして運用し、庁内に散在する地図情報や行政情報を一元的に管理・共有し、地域住民にそれらの情報を迅速かつ柔軟に提供・公開したりすることができます。
- (2)住民組織、市民活動団体、地区自治組織、NPO、コミュニティビジネス等:町内会、自治会、連合町会等の地域で活動する組織・団体の活動支援ツールや平時及び災害時の地域情報共有・収集ツールとしての利用が可能で、住民が自らの手で簡単に地図情報を作成・公開したり、住民同士や住民と自治体の間で作成した地図情報を共有したりすることが可能になります。
- (3)広域的地区ネットワーク:市町村や都道府県等の行政界をまたがる複数の住民組織や市民活動団体等が、広域的に連携して各種地図を作製したり、また、遠隔の住民組織同士がお互い地図を相互に活用し合たりするツールとして利用できます。
- (4)自主防災組織等:町内会を基盤とする自主防災組織や住民主体の避難所運営組織が、地域固有の事情や特性を盛り込んだオリジナルの防災マップを作成して、地域防災力及び災害対応力を高めるためのツールとして利用することができます。
本システムは高い汎用性を有するため、都市計画、土地利用、社会基盤整備、産業・経済、環境、福祉、保健、医療、教育、子育て、安心・安全、防犯、防災等の幅広い分野での活用が可能であり、具体的な業務への応用例としては、例えば以下のものが挙げられます。
- 固定資産管理、都市計画、上下水道、電フラ関連情報管理、道路情報管理、施設・設備関連情報管理(公園等)
- 法令区域周気、ガス、通信等のイン知(交通規制、用地制限等)
- 独居老人、福祉サービス利用者、要介護認定者、災害時要援護者把握
- 地域学習用教材
- 安心安全マップ、ヒヤリハット情報・危険箇所情報収集、通学路検討
- 事故/犯罪/火災等事案発生履歴管理・共有
- 防災関連情報把握・検討・共有(避難所・避難経路、防災倉庫・備蓄品リスト、井戸・貯水槽、救援物資集配予定地、災害履歴、被害想定、防災資源、防災対策・行動、平時及び災害時の地域情報収集・共有、災害レポーター活動支援、災害時要援護者支援、ボランティアコーディネート支援、災害時受援マップ等)
利活用Webマッピングシステム(eコミマップ)利用画面ビュー例

本システムの無償提供とサポート体制
(1)提供ポリシー
本システムは、政府が推進する「イノベーション25」の「社会還元加速プロジェクト」のひとつとして位置づけられている「災害リスク情報プラットフォームの研究開発注2」プロジェクトで開発したものです。そのため、その研究成果を速やかにかつ幅広く社会に還元することが求められています。そこで、利用モニターとして登録していただくことで、ソースコードを無償で公開するとともに、商用/非商用の目的を問わず、無償で提供することを原則としています。
(2)サポート体制
本システムは研究開発の途上であり、今後とも、さまざまな機能拡張や改良を行うものです。しかし、これまでのプロトタイプシステムとは異なり、最終的には社会に還元されることを目指しており、社会基盤として実務的に利用が可能な拡張性を考慮して開発に取り組んでいます。そのため、開発の初期段階から公民が連携して開発を推進するという開発方針に則っています。そこで、今回のシステムの公開を機に、全国の事業者やNPO等の方々と開発コミュニティのネットワークづくりを推進する予定です。
防災科研の今後のシステム開発について
今後は、バッファリング・オーバーレイを用いた空間解析やネットワーク解析等の解析機能をサポートして充実させると共に、アプリケーション連携によるシミュレーションサービス等、災害リスク分析評価の様々な手法の開発と高度化を行なっていく予定です。
- 注1) 「eコミュニティ・プラットフォーム 2.0(略称eコミ2.0)」は、防災科学技術研究所が「災害リスク情報プラットフォームの研究開発注2」の一環として開発した、地域社会を支える新たな統合的な情報基盤です。Ajax(デスクトップソフトウェアと比べて遜色の無いレベルの、画面遷移を伴わない豊かな動的表現をウェブブラウザ内で実現にする複数ウェブ関連技術の総称)等の技術を用いて、平易で直感的なユーザーインターフェイスを搭載したCMS(コミュニティ管理システム)やSNS(社会的ネットワークをインターネットで構築するシステム)、地理空間情報の相互運用のための国際標準(WMSやWFS等)に準拠したWeb-GIS(インターネットを利用した地理情報システム)を統合した、画期的な参加型コミュニティWebシステムです。
- 注2) 「災害リスク情報プラットフォームの研究開発」は、2007年に閣議決定されたわが国の長期戦略指針「イノベーション25」(2025年までを視野に入れ、研究開発や社会制度の改革等、中長期にわたって取り組むべき施策)の中で特にその成果を社会に早期還元すべき先駆的プロジェクト「社会還元加速プロジェクト」のひとつとして位置づけられたものです。